文字サイズ
背景色
JP | EN
メニュー
文化庁

四国遍路とは

弘法大師の足跡を訪ね、
心の成長を感じる 壮大な聖地巡礼。

*

四国遍路の起源は、1200年前。
弘法大師空海が生まれ、修行し、悟りを開くまでの足跡を僧侶や修験者たちが辿り歩いた聖地巡礼がはじまりといわれています。

阿波(徳島県)・土佐(高知県)・伊予(愛媛県)・讃岐(香川県)に点在する弘法大師ゆかりの88箇所の札所を巡りながら四国を全周する、全長1400キロメートルに及ぶ壮大な回遊型巡礼路、四国遍路。
平安時代から江戸時代にかけ、交通の発達とともに遠隔地巡礼が活発化し弘法大師信仰の普及に合わせ次第に一般民衆にも巡礼が広がっていきました。
現在はバスや列車、自家用車などの交通機関を利用した巡礼が行われるもののいまなお多くの人が自らの足で遍路を巡っています。

出発の地は、それぞれ。
遍路に求める想いも、それぞれ。

四国遍路は、キリスト教やイスラム教の聖地巡礼のように最終目的地を目指す「往復型」の巡礼と異なり四国一円に展開する札所を周る「回遊型」の長距離巡礼路です。

お遍路の始まりである阿波は修行への志を固める「発心の道場」、
土佐は自らと向き合い苦闘する「修行の道場」、
伊予は迷いから解かれる「菩薩の道場」、
讃岐は結願成就し悟りに至る「涅槃(ねはん)の道場」と名付けられています。

全ての札所を歩いて回ると40日以上の長旅となりますが必ずしも一度に全ての札所を巡礼しなければならないものではなく「10ヶ所参り」のように何回かに分けて巡る「区切り打ち」や阿波・土佐・伊予・讃岐の4つに分けて巡る「一国参り」、順序を逆に巡る「逆打ち」、順序にこだわらず巡る「乱れ打ち」など巡礼の仕方は様々であり、何度も巡礼している人も多くいます。

国籍や宗教、世代を超え
人のあたたかさと向き合う「心の旅」。

*

四国遍路は、国籍や宗教・宗派を超えて誰もがお遍路さんとなり、弘法大師とともに「同行二人(どうぎょうににん)」で巡ります。
「救い」「いやし」、また「供養」や「修行」など、それぞれの想いを込めて一歩ずつ次の札所を目指し、自分と向き合う時間が流れていきます。

四国には古くから、お遍路さんたちを身近な存在として、温かく受け入れ見守る文化が根づいています。
この地域独特の援助は「お接待」と呼ばれ、食事や果物飲み物を振るまい、ねぎらいの言葉をかけ、道案内をし、「善根宿(ぜんこんやど)」と呼ばれる無料の宿やお風呂を提供することも。
お接待には「お接待をすることで自らの代わりに遍路巡礼を託す」、「お接待自体が功徳である」という意味がある、とも言われています。
こうした地元住民とのふれあいや、何気ない一言に新たな活力を与えられ気持ちを奮い立たせ、お遍路さんたちは再び遍路を続けられるのです。

四国遍路は弘法大師への「信仰」と修行を実践する「場」、それを支える「地域」の三者が一体となった、世界に類をみない巡礼文化であるとともに、
わが国の歴史や文化、日本人の精神を伝承する、生きた文化遺産でもあるのです。